青空文庫
霜
金田千鶴
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あらすじ
Story八十を過ぎたすっかり老いぼれた老婆は、家族から役立たずとして煙たがれ、肩身の狭い日々を送っています。薪を運ぶことも気兼ねするほどですが、なぜか火を焚くことには異常なほど執着していました。何度も火の始末で危うい場面を起こしながらも、嫁のかめよとの会話を通じて、これまでの波乱に満ちた半生や、孤独な過去が静かに思い出されていきます。
物語の序盤までの紹介です。結末には触れていません。
読みどころ
Highlights- 衰えた身体を持ちながらも、なぜか執拗に大きな火を焚き続ける老婆の病的なまでの心理が丁寧に描写されています
- 度重なる夫との別れや製糸工場での労働、山師との暮らしなど、過酷な過去を生き抜いてきた足跡が浮き彫りになります
- 大家族のなかで孤立しつつも、嫁のかめよとの間に交わされる不器用なやり取りに、かすかな温もりが感じられます
こんな人におすすめ
For you- 人間の老いや孤独に興味がある人
- 昭和初期の農村の暮らしを覗きたい人
- 波乱に満ちた人生の回想を読むのが好きな人
時代背景
Background昭和初期の農村の大家族制度を背景に、そこへ流れ着いた身寄りのない老いた後妻の孤独な日常と心理を描いています。近代化の波のなかで取り残されていくような、当時の底辺の庶民の生活や家族関係の現実が静かに映し出されています。
作者について
Author金田千鶴は昭和初期に活動した作家であり、女性や労働者、社会の周縁に追いやられた人々の生活や心理を細やかに描きました。当時の文学界において、庶民の日常の機微や悲哀をすくい取る作風で独自の足跡を残しています。
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- 出典 発表時期:青空文庫の作品データ(初出:「つばさ 第二巻第八号」つばさ発行所、1931(昭和6)年9月1日)