青空文庫
阿亀
豊島与志雄
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読了の目安: 約13分
あらすじ
Story霧の深い夜、佐竹は知人に伴われて静かな撞球場へ足を踏み入れます。店内の奥の欄間には、不思議な存在感を放つ阿亀の面が白々と掲げられていました。その場内で、佐竹はかつて馴染みのカフェーにいた女給・お久と思いがけない再会を果たします。懐かしさから声をかける佐竹でしたが、お久の様子にはどこか異様な雰囲気が漂っており、店内の空気も次第にざわめき始めます。
物語の序盤までの紹介です。結末には触れていません。
読みどころ
Highlights- 煙草の煙と撞球の道具が並ぶ近代的な空間に、古めかしい能面の阿亀がひっそりと調和している独特の情景描写。
- 青いラシャ台の上を象牙の球が滑る静かな空間と、突如として訪れる奇妙な人間模様の対比が生み出すサスペンス。
- 常連客の落ち着いた雰囲気や、撞球場特有の時間がゆっくりと流れるような静謐な空気感のていねいな描き出し。
こんな人におすすめ
For you- 静かな文学を味わいたい人
- 心理描写に惹かれる人
- 日常の違和感を楽しむ人
時代背景
Background大正から昭和初期にかけての東京を舞台に、都会の片隅にある小さな遊び場と、そこに集まる人々の日常の断片を描いています。近代化が進む都市のなかに、伝統的な面や独特の時間が交錯する当時の世相が背景にあります。
作者について
Author豊島与志雄は、大正・昭和期の小説家・翻訳家であり、フランス文学の紹介者としても知られています。人間の心理の機微を静謐な筆致で描く作風を持ち、本作でも日常に潜む微妙な異質感を巧みに表現しています。
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