青空文庫
坂田の場合
――「小悪魔の記録」――
豊島与志雄
この作品は、お住まいの地域ではまだ著作権の保護期間中か、保護期間が終わっていることを確認できていないため、本文を公開していません。
あらすじ
Story四十歳近い独身の坂田は、父の遺産を元手に株取引で三十万余の財産を築いたのです。だが彼は、無から生じた金が増えていく現実と、それが架空の「お伽噺」であるはずだという思いとの間で葛藤し、憂鬱に沈んでいたのです。そんな彼のもとへ、ある夜、中津敏子という女から訪れの連絡が入るのです。
物語の序盤までの紹介です。結末には触れていません。
読みどころ
Highlights- 中流生活の伝統が息づく静かな家の中で、どこか世間から浮き上がっている坂田という男の複雑な人物像が描かれています。
- 現実の金儲けと架空の「お伽噺」の境界について、主人公と、彼に語りかける「俺」との奇妙な問答が展開されます。
- 書斎の不調和なインテリアや、坂田の貪欲なまでの睡眠への執着など、細部の描写から独特の雰囲気が醸し出されます。
こんな人におすすめ
For you- 心理描写にひかれる人
- 奇妙な対話劇が好きな人
- 静かな文体を味わいたい人
時代背景
Background昭和十年代の初頭、日本が緩やかな経済の立て直しを見せつつも、近代化や資本主義のあり方について様々な実感が交錯していた時代に書かれました。中流家庭の生活と、株取引による巨額の富というモチーフが、当時の都市的な生活感覚を背景に映し出されているのです。
作者について
Author豊島与志雄は、大正から昭和にかけて活躍した小説家であり、フランス文学の翻訳者としても多くの業績を残しました。人間の内面の細やかな動きや、日常に潜む不条理な感覚を描く作風で知られ、この作品でも独特の心理的テーマが追求されているのです。
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- 出典 発表時期:青空文庫の作品データ(初出:「文芸春秋」1936(昭和11)年7月)