青空文庫
山上湖
豊島与志雄
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あらすじ
Story十月半ば、雪の降った山上の湖畔にやって来た「私」と平田は、月夜にそぞろ歩きをします。一緒に死ぬはずだったのにどこか頼りない平田の態度に、「私」は失望と冷ややかな苛立ちを覚えていきます。紅葉に彩られた絶壁や、雨中の小屋での焚火を通し、二人の間のすれ違う感情が静かに浮かび上がります。
物語の序盤までの紹介です。結末には触れていません。
読みどころ
Highlights- 月夜の湖畔を歩きながら、平田の頼りない態度に失望を募らせていく「私」の揺れる心理描写が細やかに描かれています。
- 観光客で賑わうさびれた神社から望む、深々とした青い湖水の美しさと、そこにある不穏な気配が対比されています。
- 雨を避けた野の小屋での焚火の情景と、熱い期待を裏切られていく「私」の佗びしい思いが静かに交錯します。
こんな人におすすめ
For you- 心理描写をじっくり味わいたい人
- 旅情あふれる風景小説が好きな人
- 人間関係の機微に関心がある人
時代背景
Background戦後まもない一九四九(昭和24)年に発表された作品です。大きな社会変動の只中にありながら、本作は政治的背景を直接描かず、山上の静寂な自然と、人間の内面的な満たされなさに焦点を当てています。
作者について
Author豊島与志雄は、大正期から昭和にかけて活躍した小説家であり、フランス文学の翻訳や童話の執筆でも知られます。人間の心理の機微を静謐な筆致で描く作風が特徴で、本作でもその繊細な描写力が発揮されています。
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- 出典 発表時期:青空文庫の作品データ(初出:「新潮」1949(昭和24)年1月)