国立国会図書館
神童
谷崎潤一郎
青空文庫にはまだ入っていない作品です。国立国会図書館が公開している画像と OCR テキストをもとに、OpenBooks が読みやすく整えました。
底本:神童(須原啓興社、1916年) 国立国会図書館所蔵 国立国会図書館デジタルコレクション
あらすじ
Story小学校で神童と評判の春之助は、驚くほどの知能と早熟な読書で周囲を圧倒していました。しかし、木綿問屋の番頭を勤める貧しい父は、体を壊すほど勉学に打ち込む息子を案じ、学校を終えたら奉公に出そうと考えます。周囲の大人たちの凡庸さに反発しながらも、自らの信念を貫こうとする少年の孤独な戦いが描かれます。
物語の序盤までの紹介です。結末には触れていません。
読みどころ
Highlights- 幼い頃から優れた古文や漢詩の素養を示し、周囲の大人たちを次々と驚嘆させる少年の圧倒的な知性と早熟な才気
- 商人の家に生まれながら聖人を志し、周囲の期待や経済的な現実を無視して学問と精神の鍛錬に没頭していく激しい気構え
- 古い哲学や宗教書に熱中するあまり、両親の心配や世俗的な常識と激しく衝突していく、痛切かつ危うい思春期の心理描写
こんな人におすすめ
For you- 天才少年の内面を描いた小説が好きな人
- 東京の下町の暮らしや商家の様子を味わいたい人
- 家族との葛藤の物語に興味がある人
時代背景
Background東京の日本橋界隈(薬研堀・小舟町・堀留)を舞台に、番頭の父を持つ貧しい家と、裕福な木綿問屋の主人の家との暮らしの違いが細かく描かれます。漢詩や和歌、仏書、プラトンの哲学書など、少年が読みふける書物の名前が次々に出てくるのも特色です。
作者について
Author谷崎潤一郎は明治から昭和にかけて活躍した日本近代文学の巨匠です。人間のもつ強烈な欲望や美的世界を独特の文体で描き続けました。本作は1916年に須原啓興社から刊行された単行本の表題作で、少年期の特異な精神を描いた初期の作品です。同じ本には中篇「饒太郎」も収められています。
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- 出典 刊行年:国立国会図書館の書誌(底本:須原啓興社、1916年)