「今度会うのは何処だやら――地獄か、極楽かね」
「私しゃ、どうで地獄さ――生きて地獄、死んでも地獄」
万更出まかせと思えないような調子であった。
「…………」
七十と七十六になった老婆は、暫く黙って、秋日に照る松叢を見ていた。
沢や婆が帰る時、植村の婆さんは、五十銭やった。
「其辺さ俺も出て見べ」
二人は並んで半町ばかり歩いた。〔一九二六年六月〕
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秋の反射
宮本百合子
「今度会うのは何処だやら――地獄か、極楽かね」
「私しゃ、どうで地獄さ――生きて地獄、死んでも地獄」
万更出まかせと思えないような調子であった。
「…………」
七十と七十六になった老婆は、暫く黙って、秋日に照る松叢を見ていた。
沢や婆が帰る時、植村の婆さんは、五十銭やった。
「其辺さ俺も出て見べ」
二人は並んで半町ばかり歩いた。〔一九二六年六月〕