青空文庫
富嶽百景
太宰治
この作品は、お住まいの地域ではまだ著作権の保護期間中か、保護期間が終わっていることを確認できていないため、本文を公開していません。
富士には、月見草がよく似合う。御坂峠の茶屋に滞在した作家が、富士と向き合った日々。
あらすじ
Story昭和十三年の初秋、太宰治は再起を期して甲州の御坂峠にある天下茶屋へ赴きます。そこには先客として井伏鱒二が滞在しており、作家は毎日富士山と真正面から向き合う生活を始めます。旅先での見合いや地元の青年たちとの交流を通じ、富士山に対する複雑な思いと自身の内面を見つめ直していきます。
物語の序盤までの紹介です。結末には触れていません。
読みどころ
Highlights- 絵画や写真に描かれる理想化された富士山と、実際の鈍角で低い富士山との対比が率直に綴られています。
- 峠の茶屋で井伏鱒二と過ごす穏やかな日常や、道中で出会う人々とのユーモラスなやり取りが描かれています。
- 自分の無力さや苦悩を抱えつつも、静かに佇む富士山に圧倒され、心を動かされる心理描写が印象적です。
こんな人におすすめ
For you- 旅の紀行文や随筆が好きな人
- 太宰治の素朴な一面を知りたい人
- 風景描写の妙を味わいたい人
時代背景
Background昭和十四年に発表されたこの作品は、作者が太平洋戦争前夜の不穏な時代に、山梨県の御坂峠などで過ごした実際の体験をベースに書かれています。世間の風潮や自身の葛藤から離れ、自然と向き合う地方の暮らしが背景にあります。
作者について
Author弱さも恥ずかしさも隠さずに書いた作家で、いまも若い読者の心に刺さり続けています。青森県出身の太宰治は、人間の心理の機微や自己の苦悩を赤裸々に描く作風で、近代日本文学を代表する作家の一人です。初期の退廃的な作風から転換し、身の回りの情景や人間関係を豊かなユーモアと繊細な筆致で捉え直した時期の代表的な随筆です。
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